今の福島

フットサルフリーダム出場後の11月4日、福島で子どもや若者支援に関わっている鈴木綾(りょう)さんのガイドの元で福島の被災地を見学しました。

2011年に福島で起こった事を忘れる日本人はあまりいないと思いますし、原発稼働等の現在進行形トピックも含んでいる問題ですが、日々更新される社会的出来事だったり個人的出来事だったりが積み重なって、意識しないと見えずらい問題になっているのかなという実感があります。少なくてもボクにとっての見学前の福島関連の問題はそんな立ち位置でした。そんなボクが綴る文章だから、もしかしたら考え方がズレている部分もあるかもしれませんが、現場で関わっている綾さんのガイドがあまりにも素晴らしかったので、そこで得た情報中心に今の福島を写真で紹介していきますね。
 ガイド役の綾さんが拠点にしている『福島コトひらく』。倉庫をリノベーションした素敵な場所。まずはココで今の福島の被災地や避難者がどういった状況なのかのレクチャーを聴きました。改めて自分の中でこの問題について知らないことだらけ。
その後、車で避難者が住んでいる仮設住宅を少し回ってから、一番最初に避難指示が解除になった川内村(昨年6月に解除)のカフェでランチ。帰還者は今年5月時点で2,181人(80.4%)ということもあって人がしっかりと活動している事が分かる雰囲気。そんな復興の象徴ともいえるカフェ・アメイゾンでランチ。
オシャレで美味しいカフェでしたよ。そこで働いている女性店員さんの一人はガイド役綾さんのお知り合いで、元々は東京の大学で原子力関係の勉強をしていて当時は東電を就職第一希望にしていたそう。そんな時に原発事故があって、ボランティア参加後に紆余曲折で今は川内村に移住しているんだとか。
 東電という言葉が出ましたが、ちょうど川内村から少し進んだ山の合間から福島第一原子力発電所が見えました。あいにくの天気なので写真だと見えずらいかも。東電批判は当然多いけど一方で避難地区住民の中には東電勤務者も多かったそう。この事もそうですが、外部の人間がメディアを経由して更には個々の関心フィルタに通過した情報ってそんな複雑な事情や住民の微妙な感情って抜け落ちちゃうものなんだなとボク自身の自戒を込めて実感。
 その後、車は富岡町へ。長閑な村のそこかしこに置かれた黒くて大きな袋の塊は除染土を入れたもの。日常の中の非日常。福島では毎日天気予報の後に『本日の放射線量』を発表しているそうです。綾さん曰く、そんな日本中で福島にしかない状況を当たり前のように受け入れている事に戸惑いがあるとの事。
富岡町は今年4月に避難指示が解除されたのですが、一部はまだ帰還困難区域という事もあって、殆どの人がまだ帰ってきていないとの事。実際、町を走っていると人が活動している様子があまり感じられない光景。あくまで一部解除なので町のあちこちにまだ立ち入り禁止のフェンスがある事も原因でしょうけど、町に戻るかどうするかもまた住民の中で色々な意見があるそうです。
それでも『富岡町は負けん!』という看板。数週間前に再開した常磐線の富岡駅の売店で発見しました。案内見るとフットサルフリーダム開催地の岩沼まで直通なのですね!まだ一部は不通ですが、いつか常磐線使ってフットサルフリーダムに参加できる日が来るといいなぁ。
 
見学の最後は浸水地区、実際に津波の物理的な被害があった場所を走りました。かつては民家が立ち並んでいた海沿いの街の現在の姿。6年経った後でも分かる津波の圧倒的破壊力。放射能被害による帰宅困難地域が、それでも住民が帰ってくることを目指しているのと異なって、そもそもこの地区は津波がきた時の事を考えると再び人が住むことはないかも……との事です。
本当はガイド役綾さんはこの後、避難地区に住んでいる住民と交流する場も考えてくださっていたそうですが、時間が無くて断念。地区住民、特に高齢者の中には野菜作りを営んでいた方も多くて避難地区にあるちょっとした場所でも畑を耕しているんだとか。でも、作っても誰も食べない野菜が捨てられていく様だったり、震災直後は様々な支援団体が関わっていたけど6年経った今は地元でもこの問題に関わっている団体が少なくなっている状況もあるんだとか。そんな中で未だにこの問題に関わっている綾さんをみて避難地区の方々も「まだ来てくれるんだねぇ」と嬉しそうに仰ってくれるんだとか。そんな綾さんの「長い時間を掛けて取り組むべき問題を長い時間掛けて関われている事が嬉しい」という言葉が印象的でした。
今回、『ふたばぐるぐるMAP』を片手に被災地を車で回ったのですが、このMAPはマザードマップではなくて、あくまで観光MAPなんですよね。帰宅困難区域などが記されている一方で見所が記されていて、まずは福島を見に来てほしいという想いが詰まっていました。ボクが見学
したから何が変わるという事でもないけど、それでもここで見てきたこと聞いたことをまた別の人に伝える言葉は持っているので、このブログが誰かの何かのキッカケになればいいなと思っています。
デワデワ
 

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